序
扇子は自分の手で風を送るのに用いる道具であり、数本から数十本の細長い骨組みを束ねて端の一点(要=かなめ)で固定し、使わないときは折りたたみ、使用時に展開する。骨には大抵和紙が貼られており、展開すると紙を貼られた部分が雁木形の扇面となる。折り畳むことでコンパクトに納めることができる。いわば折り畳みのできるうちわである。
扇子とうちわでは、うちわの方が成立が早く、紀元前の中国で用いられたという記録がある。また、古代エジプトの壁画にも、王の脇に巨大な羽根うちわを掲げた従者が侍っている図がある。日本では、利田遺跡(佐賀県)において、うちわの柄が出土した例がある。このようにうちわは文明発祥時から存在するものであるが、うちわを折り畳んで携帯に便利な扇子にするというアイデアは、8世紀頃の日本で発明された。扇子の着想は、一説には、木簡(今で言うメモ帳のようなもの)を束ねて一端に穴を開け、紐などで繋いだものが起源であるとされる。