■割■
東京の寄席でいう割(わり)は一日毎の客の入りと演者の格に応じて支払われる給金。
興行収入を単純に山分けするのではない。「演者ごとの、客一人当たりの給金」×「有料入場者数」という式にて算出される。いずれにせよ、個々の演者は当日まで自分が実際に貰える出演料の額を知りえない。
「割り」の制度は東京にのみ存在し、関西では存在しない。関西では伝統的に月給制が敷かれてきた。さもなくば、予め合意した額の出演料が支払われる。
かつては、多くの場合、寄席が入場料から一定の歩合を控除し、残金を主任(トリ)を務める演者に渡し、それを主任が取りまとめて翌日の席で手渡していた。興行最終日の分は、通常当面預りとして次回一緒の興行に参加した場合渡すが、相手の一門の者などに託す場合も有った。
割りは、現金で手渡されるため、個々の落語家に渡す金額を算出して、その金額の現金を袋詰めしなければならない。手作業である。 これを「割を作る」という。
格下の落語家が主任をとった場合、自己の負担で、浅いところに出る格上の落語家の割りを割増したということも頻繁に行われた。この場合、彼(主任)は労働をしたのに赤字になったわけである。